泊園文庫印章コレクションについて

泊園文庫には書籍・自筆稿本のほか書簡や軸物、印章が多数蔵されている。このうち印章は藤澤南岳のコレクションを中心に全部で178顆にのぼる。
南岳は書家として著名であり、書画芸術や篆刻についても高い見識の持ち主であった。彼が当時の関西芸術界における中心的存在の一人でもあったことは、大正2年(1913)京都蘭亭会の発起人になっていることや当時の諸記録からはっきり知ることができる。これら印章の数々はいずれも南岳の鑑賞眼に堪えた作品なのである。
実際、ここには円山大迂、羽倉可亭、雨宮其雲、佐藤赤堂、阿部縑洲、中村石農、藤本煙津ら幕末から明治・大正時代にかけて活躍した名手による篆刻が多く含まれ、日本近世・近代の篆刻を代表するコレクションとなっている。
ここに紹介するのはそのうちの172顆であり、現在、関西大学博物館が管理している。画像撮影は関西大学アジア文化研究センター(CSAC)におけるアーカイブズ作成成果の一部であり、鈐印・釈文については本学非常勤講師で西泠印社社員の陳波氏の協力を仰いだ。
当サイト冒頭の題辞「泊園」は、もと大阪市南区竹屋町(現中央区島之内1丁目)の泊園書院跡地にあった記念碑「泊園書院址」から採った。これは藤澤黄坡の子で大阪を代表する小説化として活躍した藤澤桓夫が建て、題したもので、記念碑は現在、本学の以文館北側に移設されている。また、右側の「泊園主人」印章は当コレクションのno.103を用いた。
泊園書院のもつ芸術的側面、その清雅秀逸な韻致をぜひ味わっていただきたい。

凡例及び参考文献

凡例

  1. 冒頭の番号は本学博物館による整理番号による。ただし、no.23の印のみ欠けており、所蔵がない。
  2. 複数の印章が1セットになった組印の場合は、印章番号のあとに枝番号を-1、-2のように附した。
  3. 両面印や三面印のように一顆で複数の印面をもつ場合は、印章番号のあとにA、B、Cのようにアルファベットを附した。
  4. 漢字は印面および側款のみ元来の字体(おおむね旧漢字)を用い、その他は常用漢字を用いた。
参考文献
  • 吾妻重二編著『泊園文庫印譜集――泊園書院資料集成2』(関西大学東西学術研究所資料叢刊29-2、関西大学出版部、2013年)
  • 吾妻重二「藤澤南岳と篆刻芸術・印譜」,藪田貫・陶徳民編著『泊園書院と大正蘭亭会百周年』(関西大学出版部,2015年)

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